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今回取材で伺ったのは、地下鉄東西線「二条城前駅」より徒歩約5分のところにある『alt.coffee roasters(オルトコーヒー ロースターズ)』。
ワイングラスで提供するハンドドリップコーヒーやヴィーガンフードも楽しめる、京都のコーヒー通が注目する浅煎り専門ロースターカフェのご紹介です。
ドアノブがエスプレッソを淹れる際に使うグループハンドル!
シンプルだからこそ際立つセンスの良さ
実はとても古く殺風景な家だったというのがにわかに信じがたいこちらの物件。
「コーヒーに集中したいから内装はシンプルに」と、焙煎士でありオーナーの中村千尋さん。
その言葉通り余分なものはなく洗練された空間です。
『alt.coffee roasters』の想い
栄養士免許を活かし、児童施設で食育や焼き菓子作りを教えていたという店主の中村さん。
その中で障がいのある子どもたちと過ごすうち、「彼らへの労働賃金の低さや、また世界を見れば障がいの有無とは関係なく経済的に恵まれない人々の多さに気付きました」と言います。
そして辿り着いた“自分にできること”が「美味しいコーヒーを淹れること」だったそう。
自分の淹れる一杯のコーヒーが彼らへの支援や、環境問題への貢献に繋がるかもしれないと、カフェをオープンされました。
だからこそ扱うのはシングルオリジン、高品質のスペシャルティーコーヒーのみ。
それはコーヒー農家に適正な対価が支払われているフェアトレードの豆であり、また環境問題に配慮した生産方法に賛同したからです。
『alt.coffee roasters』で過ごす楽しい時間の中で、お客さん達も知らないうちに社会問題や地球環境に何らかの形で貢献できている、そういうきっかけ作りができればとのこと。
中村さんの淹れるコーヒーは美味しいだけでなく、その向こうにいる誰かを幸せにする一杯でもあるのですね。
ドリップもエスプレッソも浅煎りで
コーヒー本来の風味を楽しんで
ワイングラスに注がれるというユニークな提供スタイルは、「苦くないコーヒーの味わいを、先入観を持たずに楽しんで欲しい」という中村さんの想いから生まれました。
『alt.coffee roasters』のコーヒーは全て浅煎り。
爽やかな甘酸っぱさは、コーヒーが本来はフルーツであることを思い出させてくれます。
豊かなフレーバーを持続させる浅煎りは、実はとても難しいそうです。
中村さんは独学で、できる限りのプロファイルを試し、それぞれの豆ごとに納得がいく焙煎法を追及されているという徹底ぶり!
その渾身のコーヒーは温度帯で違うフレーバーを味わえるので、冷めるときも段階を踏んで異なる美味しさを楽しめます。
口に含むとふわっと広がるアロマと軽やかな甘味、まるでフレーバーティーのようで、コーヒーに馴染みがない人にもぜひ試してもらいたい一杯です。
メルボルン仕込みのエスプレッソ・ドリンク
オーストラリアの中でもカフェ文化の中心と言われる、メルボルンのバリスタ経験を活かし、エスプレッソとミルクを合わせた「フラットホワイト」などもメニューに登場。
「舌の肥えた現地人に淹れたコーヒーを突き返されたこともあり、一杯一杯に真剣に向き合うことを学びました」と中村さん。
一見辛い経験も、今の彼女の姿勢に繋がっているのですね。
エスプレッソ豆はその時々の旬の産地のものを、こちらも浅煎りで。温度や湿度で繊細に変わる豆の抽出法を調整した、いつも安定の一杯です。
美味しくて環境に優しいヴィーガンフード
栄養士免許を持つ中村さんが手掛けるフードメニューは、動物性食品や乳製品を一切含まないというヴィーガンフードや、白砂糖やショートニングを使わず自然の甘味を使った焼き菓子など。
国産食材を使用した美味しく、体はもちろん自然環境にも優しいメニューが並びます。
もちろんどれも軽やかな浅煎りコーヒーに合うものばかり!
パリッともちもちの食感が両方楽しめる自家製ベーグル。
ポテトサラダには、マヨネーズの代わりに豆乳が!
さらに複数のスパイスを混ぜ込んだ、ポテサラ好きをも唸らせる深い味わいに仕上がっています。
左から夏季限定の「Salted Lemon&Rosemary(ソルティッド レモン&ローズマリー)」と「Coffeecherry&Walnuts(コーヒーチェリー&ウォールナッツ)」のクッキー。
油少な目、国産小麦で作られているとのこと。
素朴だけれど食材の味が生きて美味しく何枚でも食べてしまいそう。
最後に
周りを照らすような笑顔が印象的な中村さんひとりで切り盛りする、地域のコミュニティーのような『alt.coffee roasters』。
彼女に会いたくて通う人、このカフェで顔を会わせるうちに仲良くなるお客さん同士など。
彼女が淹れる美味しい一杯は、様々な人を惹きつけ、人と人を繋ぐ存在になりつつあるようです。
●浅煎りコーヒーを試してみたい
●居心地のいいカフェを探している
●自然環境に優しい“ヴィーガン”に興味がある
そんな方はぜひ足を運んでみてください!
Writer:榎田 京
※掲載内容は取材時の情報です。ご利用の際は最新の情報を事前にご確認ください。