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国内外で数々の映画賞に輝いた『悪人』、『怒り』など映像化も続くベストセラー作家、吉田修一氏による『犯罪小説集』が、『64-ロクヨン-』を大ヒットさせた名匠・瀬々敬久の監督・脚本で映画化。
10/9(水)、『TOHOシネマズ 梅田』で開催された舞台挨拶付き試写会に、主演の綾野 剛、佐藤浩市、瀬々敬久監督が登壇した。
Y字路で起きた事件の容疑者として追い詰められていく青年、主人公の中村豪士(たけし)を演じたのは、人気、実力を兼ね備える俳優、綾野 剛。
割れんばかりの拍手で迎えられると、開口一番「大阪、大好きー!(観客:イェーイ!)」。
「これが今日一番やりたかったことなので気が済みました」と満足げ。
Y字路に続く集落で村八分になり、孤立を深めていく男・田中善次郎を演じたのは、『64-ロクヨン』で圧巻の演技力を見せつけた名優、佐藤浩市。
MCが善次郎について「やがて壊れていく男」と説明すると、佐藤は「壊れてます!今日は朝から1日中稼働(宣伝活動)しているので(笑)」と話し、会場を沸かせた。
ぜひ大阪で映画の撮影をしてみたい(綾野)
本作『楽園』は、「土地」がひとつの大きなキーワードとなっている作品。
MCから大阪の思い出の場所を聞かれた綾野は、「(大阪が)大好き。好きなんですよ、本当に。以前もここ(『TOHOシネマズ 梅田』)に立たせていただいたことがあって、そのときは桂 南光さんが陣中見舞いにわざわざ来てくださった。ここも僕にとって、思い出の場所ですね。ただ、大阪で映画のロケをしたことがないんです。ぜひ大阪で映画の撮影をしてみたいなと思います」と話し、ファンを色めき立たせた。
主演の綾野を大絶賛!「インディーズ魂を今も持っている方」(瀬々監督)、「多面的な部分がある」(佐藤)
瀬々監督作品『64-ロクヨン-』にも出演した綾野と佐藤。
監督から見た二人の魅力について聞かれると、「それはお客さんが一番よく知っているんじゃないでしょうか」と笑いつつも、「綾野さんはこんなメジャーになる前から知っているのですが、その頃はロン毛ですごく繊細な感じで。でもインディーズ魂を持っている人だなと感じました。それが今も消えていない。作品の大小に関わらずやってくれる人で、その気持ちが作品にもよく現れていると思います」と大絶賛。
さらに「浩市さんは同い年なんです。見えないと思いますけど(笑)。頼れる上司のようでいて、本当に優しい心の持ち主です」と照れながらコメントした。
綾野は佐藤について「浩市さんの背中には修羅がある」と表現。
「『64-ロクヨン-』の時からずっと背中を見続けてきました。現在世の中で起こっていること、ご自身のこと、いろんなことを含めて愛情や怒りを背中で感じます。プライベートでも食事を一緒にさせていただいているので、今回も現場でご一緒できることが楽しみでしたし、安心感しかありませんでした」。
さらに、佐藤は綾野について「ハードな部分とソフトな部分を持ち合わせている」と評価。
「抽象的ですが、例えば『綱渡りをする』にしても、“安全な渡り方をしたい”という役者がいる中で、彼は“どうせ綱渡りするなら目隠ししたほうが面白いでしょ!”と言える面を持っている。その一方で、非常に冷静に人を観察できる面もある。多面的な部分があるなと感じています」。
それを受け、綾野は「(2017年の)日本アカデミー賞で、浩市さんも僕も主演男優賞に選ばれたのですが、最優秀主演男優賞は浩市さん。しっかり負けまして。その時、圧倒的な納得がありました。まだまだこの背中は遠いなと思っています。この背中を抜く抜かないではなく、近い位置まで肩を並べられるようになるまでまだまだ時間はかかりますが、それまでに浩市さんとたくさん現場をご一緒したいです」とコメントした。
「選択ができるというのは恵まれている」(佐藤)
青田に囲まれたY字路で起こった2つの事件について描かれる本作。
劇中、Y字路が登場人物の“人生の分かれ道”を表すかのように印象的に映されている。
綾野は「人生は選択の連続。選択肢を増やせるから人は生きていける。しかし、この作品の登場人物は選択がどんどん狭まっていくのです」と解説。
佐藤も「選択できる人生って幸せですよね。選択ができない、止まっちゃいけない、休んじゃいけない、歩き続けなきゃいけない、そういう人生の辛さもあるだろうし。選択ができるっていうのは恵まれているなと思います」とコメントした。
スポーツの秋! 「よだれダラダラです!」(綾野)
ラグビーW杯に世界陸上など、日本国中がスポーツに熱狂している今。
スポーツが大好きだという綾野は目を輝かせながら「そろそろ出雲駅伝も始まりますし、よだれダラダラです。めちゃくちゃ楽しいですよね。スポーツは“無条件で本当”だから憧れがあります。圧倒的なノンフィクション。次の楽しみは(ラグビーW杯の)スコットランド戦ですが、台風の影響が心配ですね。選手の皆さんにとっていい環境で試合ができればいいなと思います」と饒舌。
一方の佐藤はというと……。
「え~……、まぁ、あの……」と苦虫を噛み潰すような表情で話し始めると「我が横浜ベイスターズは阪神タイガースさんに先日負けましたものですから、ぜひ阪神タイガースの皆さんには巨人戦、頑張っていただきたいと思います!」とエール。
これには会場も大爆笑、拍手喝采となった。
「かけ違えたボタンをかけ直すこともできない弱者がいる」(佐藤)
最後に挨拶を求められた瀬々監督は「1989年に監督になって30年目になるのですが、まあ、30周年記念映画だと思ってます」と笑いながらも、「いつの間に、なんでこんな時代になっちゃったのかなと思うこともあるんです。高度経済成長期など色々あって、日本はよりよくなるんじゃないかと思っていたのですが、こんなにいがみ合ったり、国と国が憎しみあったり。こんなはずじゃなかったなという思いを抱きながら撮影しました。何かを感じ取っていただければと思います」とコメント。
佐藤は「かけ違えたボタンは、かけ直すことができます。でも、かけ直すこともできずに自分が一番望まない場所に向かってしまう弱者がいるというところを観ていただけたら嬉しいです。『楽園』というタイトルの意味合いなども色々オーバーラップさせて、考えて欲しいなと思います」と語った。
「世の中には抱きしめなければならない人がたくさんいるということを伝えたい」(綾野)
「この作品は、打ちのめされる部分も苦しくなる部分もあると思いますが、エンドロールで流れる野田洋次郎くんプロデュース、上白石萌音さんが歌う『一縷(いちる)』という歌が必ず皆さんを包み込んでくれると信じています。見終わったあと、ご家族、お子さん、ご兄弟、彼氏、彼女……。自分にとって大切な愛おしい人を抱きしめてください。根底にあるのは、“世の中には抱きしめなければならない人がたくさんいる”ということ。それを映画という形で伝えられたらと思っています。皆さんにこの映画を託します。受け取っていただければ幸いです」。
舞台挨拶の最後、綾野が観客に熱いメッセージを送ると、会場は割れんばかりの拍手に包まれた。
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【STORY】
ある地方都市で起きた幼女失踪事件。
家族と周辺住民に深い影を落とした出来事をきっかけに知り合った孤独な青年・豪士(綾野 剛)と、失踪した少女の親友だった紡(杉咲 花)。
不幸な生い立ち、過去に受けた心の傷、それぞれの不遇に共感しあうふたり。
だが、事件から12年後に再び同じY字の分かれ道で少女が姿を消して、事態は急変する。
一方、その場所にほど近い集落で暮らす善次郎(佐藤浩市)は、亡くした妻の忘れ形見である愛犬と穏やかな日々を過ごしていた。
だが、ある行き違いから周辺住民といさかいとなり、孤立を深める。
次第に正気は失われ、誰もが想像もつかなかった事件に発展する。
2つの事件、3つの運命、その陰に隠される真実とは。
“楽園”を求め、戻ることができない道を進んだ者の運命とは……。
【公式HP】 https://rakuen-movie.jp/
【監督・脚本】 瀬々敬久
【出演】 綾野 剛 / 杉咲 花
村上虹郎 片岡礼子 黒沢あすか 石橋静河 根岸季衣 柄本 明
佐藤浩市
2019年製作/日本/2時間9分
【配給・制作】 KADOKAWA
10/18(金)公開
【大阪】
TOHOシネマズ 梅田
TOHOシネマズ なんば
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TOHOシネマズ 鳳
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MOVIX八尾
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【京都】
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109シネマズHAT神戸
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【滋賀】
ユナイテッド・シネマ大津
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水口アレックスシネマ
彦根ビバシティシネマ
【奈良】
シネマサンシャイン大和郡山
TOHOシネマズ 橿原
ユナイテッド・シネマ橿原
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