京都市民に親しまれている文化施設『京都市美術館』が、再整備にともないネーミングライツ制度を採り入れて、『京都市京セラ美術館』としてリニューアルオープン。
現存する公立美術館としては日本最古といわれる建物で、その意匠を保存・継承しつつ、現代的に再整備されました。
もともと下足室として使われていた地下が、メインエントランスに変身。下足室とは脱いだ靴を預ける場所。昔は下足室で草履を脱いで、美術館に入っていたのだそうですよ。
エントランスから中へ入ると、ミュージアムショップやカフェにアクセス出来ます。どちらも展示を見なくても利用できるスペースです。
限定グッズもそろうミュージアムショップ
メインエントランスを入って左へ進むと、ミュージアムショップ『ART LAB KYOTO(アート・ラボ・キョウト)』があります。美術書籍や伝統工芸品、限定グッズにアートな小物もそろっていて、見ているだけでも楽しいスペース。
こちらには、『BEAMS創造研究所』が手がけた美術館オリジナルグッズもそろっています。シンプルなデザインの「茶筒」は、職人の手作り。高い密閉率を誇り、茶葉やコーヒー豆、お菓子の保管にもピッタリです。
京都三条の御菓子司『亀屋則克』の「干菓子」は、『京都市京セラ美術館』オリジナル。“京”のロゴと京都の象徴的な建物などのシンプルなモチーフが素敵。
その他、素材にもこだわった「トートバッグ」(3,500円)や「Tシャツ」(大人用4,500円)など、ファッションブランド『BEAMS』らしいグッズも並びます。
開放的な雰囲気を味わえるカフェ
メインエントランスの右側には、ミュージアムカフェ『ENFUSE(エンフューズ)』があります。開放的なガラス張りの店内は、半地下で不思議な雰囲気。テーブル席とカウンター、合わせて60席のゆったりとした空間です。
サンドイッチなどの軽食から、「京の素材のおかずプレート」や「ビーフカレーライス」(1,200円)など、食事系メニューもそろっていて、しっかりランチ使いもできそう。21時まで営業しているので、ディナーやバー利用もできるのがうれしいですね。
こだわりのドリンクも個性派ぞろい。京都の華やかさをイメージした、オリジナルローストの「ドリップコーヒー」(600円)や「ほうじ玄米茶」(650円)のほかに、果物や植物を原料にした蒸留酒を作る『mitosaya薬草園蒸留所』のハーブを使った季節のハーブティーも楽しめます。
さらにケーキや和菓子などのスイーツも。『京菓子司 金谷正廣』が手がける「今月の和菓子」は、同美術館の所蔵品からインスパイアされたもの。写真は丹羽阿樹子の《遠矢》をイメージしています。思わず写真を撮りたくなるかわいさです。
美しいレトロ建築
館内には竣工当時のレトロで美しい意匠も残っています。近代建築として高く評価されている建物は、2020年7月頃に国登録有形文化財に登録される予定。
和と洋の意匠が融合した建物は“帝冠様式”と呼ばれる建築様式。もともとの建物のパーツを生かして壁や床のタイルなどもそのまま利用し、当時の面影を残しています。
西広間吹き抜けの天井には、当時の雰囲気そのままの美しいステンドグラスを見ることができます。
中東やヨーロッパなど各国のイメージを折衷させて作られたという、クラッシックな空間を眺めていると、どこかの異国に来たような不思議な気持ちになりますよ。
無料で楽しめるフリーエリアも
ふらっと立ち寄ってみたい、無料で利用できる日本庭園や、東山を一望できるテラスなどのフリーエリアも充実しています。
東側の日本庭園もそのひとつ。近代日本庭園の先駆者、七代目小川治兵衛氏が作庭に関わったとされる池泉回遊式の庭園です。東山を借景とした素晴らしい風景は、展覧会鑑賞後の余韻にひたるのにもピッタリですよ。
日本庭園の池には、新館『東山キューブ』で2020年6月14日まで開催の『杉本博司 瑠璃の浄土』にあわせて、杉本博司と新素材研究所による透明な茶室『硝子の茶室 聞鳥庵(もんどりあん)』も。こちらは2021年1月末まで展示されています。中に入ることはできませんが、美しい自然とともに、不思議な存在感の茶室がある風景を眺めることができます。
『東山キューブ』2階にある『東山キューブ・テラス』からは、日本庭園や東山の風景を一望。春は桜、秋は紅葉なども楽しめます。
エントランスの北西の地下には、新設された入場無料の展示スペース『ザ・トライアングル』も。
「ザ・トライアングル」という名前には、“作家・美術館・鑑賞者を三角形で結ぶ”という意味があるのだとか。気軽に現代アートに触れられる空間です。
2020年5月31日(日)までは、カラフルな空間作りを得意とする、鬼頭健吾氏の作品を展示。差し込む光の具合によって表情を変える、カラフルな空間を楽しめます。
最後に
「誰にでも開かれた場所」を目指してリニューアルオープンした『京都市京セラ美術館』。誰でも楽しめるフリーゾーンも多いので、美術作品を鑑賞せずともふらりと立ち寄りたいスポットです。
●気軽に現代アートに触れたい
●美しい建築に癒やされたい
●のんびりと京都を楽しみたい
生まれ変わった京の文化ゾーン。日没後から22時までは光のアーティスト 高橋匡太氏によるライトアップも実施していて、ちょっと違う雰囲気が楽しめますよ。
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Writer:二木 繁美
※掲載内容は取材時の情報です。ご利用の際は最新の情報を事前にご確認ください。