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大地震や水害などの大規模な災害が発生すると、物流が途絶えてスーパーやコンビニ、ドラッグストアから商品が不足する恐れがあります。
また最近では感染症拡大への備えとして、いざという時あまり外に出ないで済むよう、普段から備蓄をしておくことがますます重要になってきました。
これまでの大震災では、「いざ備蓄が必要になって取り出してみたら、消費期限や使用期限が切れていた!」というケースがあったそうです。
備蓄をいつでも使えるように維持するには、どうすれば良いのでしょうか?
今回は災害の専門家も推奨している「ローリングストック法」をご紹介します。
ローリングストック法とは?
ローリングストック法とは、「食べ物や日用品を多めに買いだめしておき、時々消費して補充する」備蓄法です。
普段から使っている物を多めにストックするだけなので、とてもシンプル。災害用に特別に作られたアイテムを買う必要はないので、いつものスーパーやドラッグストアで揃えられます。
【ローリングストックの方法】
1.最低3日分の水や食料・日用品を用意する
備蓄は少なくとも3日、余裕があれば1週間乗り切れる量が目安です。収納スペースや住んでいる環境に合わせて無理のない範囲で用意しましょう。
食料は1人につき「最低3日×3食=9食分」を用意します。おすすめは消費期限や賞味期限が半年~1年以上と長く、常温で長期保存できる食べ物です。
2.備蓄したアイテムを普段から時々使って消費する
賞味期限や使用期限が早いものから使い、徐々に在庫を減らします。
3.消費した分を補充する
缶詰を1つ使ったら1つ買い足すというように、常に一定のストックを保ちます。
この方法を使うと、備蓄が常に入れ替わっていくので、「いざという時、備蓄が役に立たなかった」という事態を防ぐことができるのです。
つまずきやすいポイントと対処法
ローリングストック法に慣れないうちはなかなか習慣として定着しないかもしれません。
よくあるつまずきとしては、「棚の奥深くにしまい込んでそれっきり」、「消費した分を補充しないまま使い切ってしまう」の2つが挙げられます。
そんな事態を防ぐために、最初のうちは特に目につきやすいカゴなどに入れて置いておきましょう。ふと思いついた時にすぐ手に取れる程度の距離感が理想です。
また、補充忘れを防ぐためには保管場所にシールなどで印をつけておき、「これ以上減ったら補充する」という目安を作るのがオススメです。
オススメの備蓄アイテム
■水
災害時は成人1人につき1日3リットルが必要と言われています。これには飲料水のほか、怪我をした時に汚れを洗い流したり、濡れタオルで体を拭いたりする衛生用の水も含みます。
3日分の場合、1人あたり9リットルの水が必要。ということは、500mlのミネラルウォーターなら18本を用意する計算になります。
少しかさばる量ですが、水は人間が生命を維持する上で本当に大切なもの。いざという時に備えてケース買いしておくことをオススメします。
■パックご飯や乾麺などの主食
主食である炭水化物は活動のエネルギー源になるため、必ず用意しましょう。
温めるだけで食べられるパックご飯はとても便利です。最近では、加熱しなくても水を注ぐだけで食べられるアルファ化米も普及してきました。
そのほか、パスタやうどん、そうめん(にゅうめん)など、保存性の高い乾麺を備蓄しておきましょう。ただしこれらの麺は加熱調理が基本です。
一方カップ麺は水でも戻すことができます。
■缶詰
ツナ缶やサバ缶、コンビーフなどの魚や肉類、フルーツ缶やトマト缶などの果物や野菜など、缶詰の種類はとても豊富です。
多くの缶詰は賞味期限3年程度に設定されており、長期保存できるのが特長。そのまま食べられるものも多いので、緊急時に重宝します。
プルトップが付いているタイプも多いですが、もちろん缶切りも忘れずに。
■レトルト・フリーズドライ食品
カレーや煮物、お茶漬けやスープなど、温めたりお湯を注いだりするだけで食べられる食品を揃えておきましょう。
主食に対するおかずを担ってくれる大切な食品です。料理のバリエーションが豊富で、基本的に調理済みのため、いざとなればそのまま食べて飢えをしのぐこともできます。
■紙パックの野菜ジュース
災害時の食生活ではどうしても炭水化物中心になりがちで、体を健康に保つためのビタミンや食物繊維が不足しやすくなります。
常温で保存できる紙パックの野菜ジュースは偏った食生活を補ってくれる存在です。
■乾物
わかめや切り干し大根、煮干しなどの乾物は保存期間が長いので、備蓄に向いています。
冷蔵保存の必要がないので、電気がストップしても安心です。
■お菓子
お菓子は生命維持には不必要ですが、娯楽の少ない避難中の生活では心の灯火のような存在です。また、不足しがちなカロリーを補う役割もあります。
物資が不足すると水や主食などの重要なものから優先されるので、お菓子は手に入りにくくなります。
ある程度保存がきくビスケットやチョコレート、飴、おせんべいなどを選びましょう。
■日用品
水や食料だけでなく、日用品にもローリングストック法は使えます。
ゴミ袋、トイレットペーパー、ティッシュペーパー、ラップやアルミホイルなどは少し多めに買いだめしておきましょう。日頃から切らす心配もなくなるので一石二鳥です。
カセットコンロがある場合はカセットボンベ、災害用ラジオを持っている場合は乾電池など、燃料や電池類も忘れずに。
また生理用品や粉ミルク、おむつ、離乳食など、必要に応じて手に入らなくなると困るものは多めにストックしておきましょう。
まだまだある!ローリングストック法のメリット
ローリングストック法のメリットは、災害時の備えができるだけではありません。
非常時に慣れ親しんだ物を使える
数年間の保存ができる乾パンやパンの缶詰などの備蓄をすることももちろん大切です。ですが、災害時の生活はただでさえ緊張や不安でいっぱい。普段から食べ慣れている食料やお気に入りの日用品があったら、心強いですよね。
事前に味や使い心地をチェックできる
ローリングストック法では時々ストックを使って消費します。
そのため「実際に食べてみたら、好みの味じゃなかった……」、「思ったより使いにくい!」といった悲劇を避けることができます。
好きな商品を集めて、自分好みの備蓄を徐々にそろえていくのもオススメです。
非常時への意識を維持できる
備蓄は常に一定量確保されており、食べたり買い足したりするたびにラインアップや量を確認することになります。災害という非日常の事態を意識する機会が日常で増えるので、いざ何かあった時にうろたえずに行動できます。
まとめ
簡単な災害対策としてローリングストック法を解説しました。もう一度その方法をまとめます。
1.最低3日分の水や食料・日用品を用意する
2.備蓄したアイテムを普段から時々使って消費する
3.消費した分を補充する
生活に不便を強いられる非常時に、十分な食料や日用品があるだけでも心理的にはずいぶん変わってきます。
災害時でなくても急な体調不良や仕事で忙しい日など、家事に手が回らない時にも便利です。
ぜひ、お買い物の際に思い出して試してみてください。