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日常よく口にする中国料理。しかし高級な中国料理店を訪れる機会はそれほど多くないかもしれません。お箸を使うなど和食との共通点もありますが、和食には和食のマナーがあるように、中国料理にも独自のマナーがあります。フランス料理のコースなどと違い、大皿をみんなでシェアするのが中国料理のスタイル。その分、同席者には美しい所作で接したいものです。
今回は基本的なポイントにしぼって中国料理のマナーを解説します。訪問前に確認して、リラックスした気分で食事を楽しみましょう。
また、和食と洋食のマナーについても紹介しているので、ぜひそちらも参考にしてみてください。
参考:《和食編》意外と知らない「和食マナーの基本」!お箸の使い方や食べ方は?
参考:《洋食編》意外と知らない「洋食マナーの基本」!ナイフやフォークの使い方は?
まずは席次と「回転テーブル」の使い方を覚えよう
高級な中国料理というとイメージするのが、丸いテーブル(円卓)とその上に乗っている回転テーブルではないでしょうか。中国料理店につきものの特徴的なアイコンですよね。円卓は一緒に食事をする全員の顔がよく見えるので会話がしやすく、親睦会や接待にももってこいです。
中国料理の円卓には和食や洋食と同じく、上座と下座があります。部屋の入口からもっとも遠い席が上座です。主賓である上座から見て左、右の順番に座っていき、部屋の入口からもっとも近い席が下座となります。
回転テーブルの鉄則は「共有して使うものだけを置くこと」です。たとえば、大皿で提供される料理や、調味料、お茶の急須などのみを置きます。ビールのよう倒れやすいものや、自分の食器を置いてはいけません。
【ポイント】
- 円卓の上座は部屋の奥側
- 回転テーブルに置くのはみんなで使うものだけ
取皿の使い方も特徴
大皿料理が運ばれてきたら、最初に主賓が自分の取皿に取り分けます。そして時計回りで順番に回していきます。取り分ける際は立ち上がらず、席に座ったままがマナーです。また、他人には取り分けず、各人が自分で自分の分を取りましょう。作った人や食事をともにする人々のことを考えて、きれいな盛り付けが崩れたり特定の具材ばかり取ったりすることのないようにするのもポイントです。
食べ始めるタイミングは、年長者や役職者など目上の人が手をつけてからです。一度大皿を回したら、あとは食べたいタイミングで好きに取ってかまいません。
【ポイント】
- 回転テーブルは時計回り
- 取り分ける時はほかの同席者のことも考えて
中国料理の基本の流れ
フランス料理のコースほど厳格ではありませんが、中国料理でもおおむね料理を提供する順番が決まっています。
前菜は冷たい料理が先
前菜では野菜料理や焼豚、棒々鶏など、冷製の料理が数種類の盛り合わせで提供されるのが一般的です。温かいものがつくこともありますが、その場合は冷たい料理を食べてから温かい料理に移ります。
豪華なスープを楽しむ
熱いスープが大きな皿に入って運ばれてきます。フカヒレやアワビなど、高級食材を使ったものが多いです。
主菜は味の薄いものから
魚料理や肉料理などの主菜を楽しみます。フランス料理と違って、複数の料理が大皿で提供されることもあります。その場合は味の薄いものから食べていきましょう。
主食は大皿で運ばれてくることも
ご飯ものや麺類をいただきます。ご飯ものはチャーハンや白ご飯、麺類は焼きそばやラーメンなどさまざまです。汁物のラーメン以外は大皿で来ることがあります。
点心は食事の締めくくり
最後の料理となる点心は、ゴマ団子や杏仁豆腐などの甘いものもありますが、シュウマイなどのおかずっぽいものもあり、好みで選べます。
お茶は好きなタイミングで
お茶は食事中、回転テーブルに大きなポットで出されます。好きなタイミングで茶杯につぎ、飲んでOKです。お茶に限っては両隣の人についであげてもかまいません。中国料理のお茶は、同じ茶葉に何度もお湯を入れて飲むのが特徴です。お茶がなくなってまだ飲みたい時は、ポットのフタを外すか裏返しておくとお店の人への合図になります。
食べる際のこまごまとしたマナー
所作の基本
「音を立てない」、「器は動かさない」が基本です。皿を持ち上げた方が上品とされる和食のマナーと反対なので注意しましょう。茶杯、お箸、レンゲは持ち上げてもOKです。
取皿は取り替え、重ねる
大皿料理が基本となる中国料理では、ひとりひとりに取皿が配られます。味が混ざらないよう料理ごとに取り替え、使い終わったら重ねてまとめましょう。これも器を重ねてはいけないとされる和食と違うポイントです。
レンゲの使い方をマスターしよう
中国料理の汁物に欠かせないレンゲ(散蓮華)。実はスプーンと持ち方が違います。持ち手のくぼみに人差し指を乗せ、親指と中指で挟むように持って使うのが本式です。真横からではなく、斜めに口をつけましょう。
汁物のスープを飲む時はお箸を置いて右手にレンゲを持ち替えます。
ラーメンはすすらない
意外と難しいのがラーメンの食べ方。日本ではそばやうどんをすすって食べる光景が当たり前に見られますが、中国料理ではすすらないのがマナーです。麺を食べる時はお箸で麺をひと口分つまんで左手のレンゲに乗せてまとめます。ラーメンは熱々で提供されるので、一旦レンゲに取ることで適度に温度を下げる効果もあります。
春巻きはかじらない
ご家庭ではかじって食べることも多いかと思いますが、春巻きはお箸でひと口大にしていただきます。片手だけで皮をカットするのは難しいので手を添えてもかまいません。
北京ダックを上手に食べるコツ
北京料理の中で有名なのが北京ダック。中華街などの屋台で買えるフィンガーフードとしても大人気ですが、高級な中国料理店でもやはり華やかな主菜として登場します。
北京ダックはパリパリに焼き上げられた皮を切り取り、小麦粉の生地を薄く伸ばして焼いた薄餅で包んで食べます。皮はお店の人が切り取ってくれる場合と、自分で切り取る場合があります。ひと切れ目は主賓に譲りましょう。
薄餅を手に取り、甜麺醤ベースのタレを塗り広げます。そして北京ダックの皮や揚げワンタン、細切りキュウリやネギなどを乗せます。この時、下の方に余裕を持たせ、縦長の長方形に仕上がることをイメージして置くのがコツです。乗せすぎには要注意。
具材を乗せたら下の端を上に折り上げ、左右の生地をきっちりと巻きつけます。こうすると、中身をこぼさず食べられます。
北京ダックの肉の部分については、一緒に薄餅と巻くこともあれば、あとで炒めものやスープなど別の料理として提供されることもあり、お店によっていろいろです。
小籠包はレンゲに乗せて
蒸籠で出される小籠包は皮が柔らかく、お箸で直接取皿に取ろうとすると破れて中に詰まった熱々のスープがこぼれてしまいます。蒸籠からお箸でそっと持ち上げ、まずはレンゲに乗せましょう。次にお箸でそっと皮を破り、出てきたスープを飲みます。そして生姜入りの酢醤油などをつけて小籠包を食べます。
料理によっては指を使ってOK
有頭海老や骨付き肉などを使った料理は指を使って食べてかまいません。こうした料理にはフィンガーボウルが付いてきますので、間違って飲んでしまわないよう気をつけましょう。中身は水のほか、油分を落としやすいとされている烏龍茶などが入っています。フィンガーボウルで指を洗ったあとはナプキンで水気をふき取ってください。
まとめ
今回は中国料理店での基本的なマナーをご紹介しました。同席者との会話を楽しむことを大切にする中国料理では、比較的ゆるやかな気分で食事ができますね。重要なポイントをしっかり押さえて、楽しいひと時を過ごしてください。