※新型コロナウイルス感染症拡大防止にご配慮のうえおでかけください。マスク着用、3密(密閉・密集・密接)回避、ソーシャルディスタンスの確保、咳エチケットの遵守を心がけましょう。
三宮の中心部から北東に10分ほど歩き、山手幹線から1本北に入った場所に2021年4月、「ビゴ神戸」出身の福持 温(あつし)さんが奥様の啓子さんとオープンしたのが「Gluck」です。
神戸洋家具工場の跡地をベーカリーに
お店は路地から少し奥まった場所にあります。実はこの場所、かつては温さんのおじいさまが神戸洋家具職人として使っていた、100年の歴史を誇る工場でした。おじいさまの引退後は空いた状態だったため、福持さん夫妻がリノベーションを施し、“モノづくりの場所”として受け継いだのです。
店内の柱や入口のドアの持ち手部分は、おじいさまの作品。「祖父に店内のインテリアをお願いしたかったのですが、年齢的なこともあって、部分的につくってもらいました」(温さん)。
ほかにも黄色い看板は温さんのお父さま、オープンの札は甥っ子の手作りで、1つひとつのアイテムに、家族の思いが込められています。
ラインアップは気まぐれ!?生地の味をシンプルに味わえるパンがズラリ
「Gluck」では、基本的にパンのラインアップは固定せず、その日に温さんが思いついたものをつくるスタイル。パンづくりのこだわりは、これまで教わったことを、基本通りに行っているだけだと言います。断面が白く、シンプルに粉のおいしさを味わってもらえるパンをという思いから、ハード系のパンが多く揃います。
天然酵母のルヴァン種にイチジクとくるみをたっぷり混ぜ込んだ「ルヴァンフリュイ」(1本2,400円、1/4カット600円)は、ずっしりと重みがあり、インパクト大! 近くに住む外国人のお客さまの中は、大きいまま買っていかれる方もいるそうです。
ルヴァン種に少量の全粒粉を配合し、限界まで加水する「ロデヴ」(400円)は、歯ごたえがあるのに、中はもっちりとした食感。カットは、翌日以降にするのが良く、1日目よりは2日目、2日目より3日目と、日に日に味が変化していくのが特徴。粉の香ばしさと天然酵母のほどよい酸味を生かすため、オリーブオイルをつけたり、オムレツをはさんだりするのがおすすめです。
シナモンを使ったパンがいっぱい!
「Gluck」の特徴の1つが、「シナモン」を使ったパンが多いところです。その中でも人気なのが「栗とシナモン」(1本1,800円・スライス3枚300円)です。
フランスパンの生地に、混ぜ込めるギリギリの量のマロングラッセと渋皮栗、くるみを混ぜ込み、香りづけにシナモンを入れた人気の一品です。薄くスライスをして、そのまま食べるのがおすすめ。ホクホクの栗、カリッとしたくるみ、歯切れの良い生地とさまざまな食感を楽しめます。
シナモンロール(240円)は、シナモンを巻き込んだ生地の上にシナモンをふり、仕上げにアイシングとシナモンをたっぷりかけた、“シナモン尽くし”なパンです。温さんがシナモンと同じくらい好きだというラム酒をアイシングに使用しているので、シナモンの風味とラムの香りを楽しめる、「Gluck」ならではのシナモンロールです。
生地をクロワッサンの生地に変えた「クロワッサンシナモン」(220円)は、バターの風味と生地のサクサクとした食感を楽しめるシナモンロールになっています。
フランスパン生地にシナモンをプラスして、食パン型に入れて焼きあげる「シナモンハード」(330円)は、主張しすぎないほのかなシナモンの香りが常連のお客さまに好評です。「トースターで1分、薄く焼き色をつけてクリームチーズ&ハチミツを添えると、さらにおいしくなります」(啓子さん)。
どこを食べても具材にあたる、生地がおいしいパンを提供
ハード系のパン以外にもラインアップは充実しています。
「オレンジピールの食パン」(1本380円)には、オレンジピールが「これでもか!」というくらい入っています。オレンジのいい香りがふわっとして、1本ペロッと食べられるほどの軽さが印象的。外はしっかり、中は「ふわふわ、もっちり」という言葉だけでは足りないくらい、驚きの食感です。
あんのタイプや味、生地の食感で選べるあんぱんは、全部で3種類。「あんぱん」(180円)には、温さんのおばあさまが食べられるようにと、こしあんを使用。フランスパン生地でつぶあんを包んだ「あんフランス」(180円)や、1カ月周期であんの味が変わる季節限定のあんぱん(160円、取材時は「レモンあんぱん」)もあり、どれもあんがぎっしり詰まっています。中のあんや生地の食感で好きなものを選べます。「あんぱんなど丸みのあるパンは、家でリベイクするときに、レンジで10秒ほど温めてからトースターで焼くと、よりおいしく食べていただけますよ」(温さん)。
「毎回ラインアップが変われば、パン作りが楽しくなり、訪れた方たちにはパンとの“一期一会”を楽しんでもらえる」。そんな思いを胸に、フランスパン生地にクロワッサン生地、食パン生地など、パン本来の美味しさにこだわった10種類の生地を使い分け、温さんは今日もパンを焼き続けています。
パンだけではなく、焼き菓子も日替わりで販売。ラム酒の香りが鼻から抜ける、ちょっぴり大人な「レーズンサンド」(250円)をはじめとした焼き菓子などのスイーツも日替わりで販売しているのでぜひチェックしてみてください。
まとめ
「福持」というオーナーの名前と、ドイツ語の「幸せ、幸運」が店名の由来となっている「Gluck」、毎日どのパンが並ぶのかは、行ってみてからのお楽しみ。あなたに幸せを運ぶパンを探しにぜひ訪れてみてください。
どうしても欲しいパンや気になるパンがあるときは、事前に電話で確認を。パンの取り置きもしてもらえます。
- シナモンが好き
- 生地の味、粉の香りを楽しめるパンが好き
- 具がぎっしり詰まったパンが好き
そんな方におすすめです。
※掲載内容は取材時の情報です。ご利用の際は最新の情報を事前にご確認ください。
※新型コロナウイルス感染症拡大防止にご配慮のうえおでかけください。マスク着用、3密(密閉・密集・密接)回避、ソーシャルディスタンスの確保、咳エチケットの遵守を心がけましょう。