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給与明細(給料明細)の基本をおさらい
給与明細とは、雇用主から従業員に支払った金額と、健康保険や厚生年金保険などの控除額が記載された書類のことを指します。そのほか、出勤日数や有給休暇の残日数、各種手当などが記載されていることもあります。
給与明細をもらったあと、手取り額だけを見てすぐに捨ててしまったり、適当に保管してしまったりする人もいるかもしれません。しかし、ときにはヒューマンエラーで残業手当が間違っていたり、消化した有給休暇が多く記載されていたりすることもあるのです。給与明細をもらったら、すぐに間違いがないかを確認するようにしましょう。
給与明細(給料明細)を捨ててはいけない4つの理由
給与明細に保存の義務はなく、捨ててしまっても罰則はありません。しかしきちんと保存しておくと、さまざまな申請の際に役立つことがあります。
(1)収入の証明ができる
ローンを組んで何かを購入するときに、収入の証明書として給与明細が役に立ちます。源泉徴収票をもって収入の証明とすることが多いのですが、直近の収入証明として給与明細書の提出を求められることがあります。
(2)雇用保険申請時に必要
失業してしまったとき、雇用保険に加入していると失業給付金の申請が可能になります。ハローワークに提出する離職票には、給与の総支給額が記載されています。この金額は社会保険料が差し引かれる前の金額ですので、給与明細があれば金額を照らし合わせて間違いがないかを確認することができます。
失業給付金は退職後の生活を支える大切な資金ですので、正しい給付を受けられるよう、離職票に書かれている内容が正しいのかどうかしっかり確認しておきましょう。
(3)確定申告に必要
会社員としての給与以外に副業などで収入がある場合や、各種還付金を受け取る際などに確定申告をしなければならないケースがあります。確定申告書には給与について記載する欄がありますので、給与明細は確定申告の際に必要です。
(4)厚生年金の確認
あってはならないことですが、企業側が社会保険の加入手続きを怠り、受け取れるはずだった厚生年金が受け取れなかったという事例があります。給与明細があれば、社会保険に加入していたものとして控除されている証明になります。
給与明細(給料明細)は最低でも5年間は保管しておくべき
給与明細の保管期限に決まりはありませんが、雇用保険申請の時効が2年ですので、少なくとも2年は保存しておいたほうが良いといわれています。
また、未払いの賃金を過去5年にさかのぼって請求ができること、確定申告の際には5年間の給与明細が必要になるなどの理由から、給与明細は5年間保存しておくほうが良いでしょう。
給与明細(給料明細)は再発行ができないケースもある
企業側に給与明細書の再発行の義務はありません。また、再発行を依頼しても、企業側のルールで再発行はしないといわれるケースもあります。
未払いの賃金は5年前にさかのぼって請求することができるのですが、企業側は雇用や解雇に関する書類は5年(経過措置によって当面は3年)を過ぎると廃棄してしまう企業が多いです。そのため、再発行に応じてくれない可能性があります。給与明細は、もらった時点で記載されている内容をしっかり確認し、その後はきちんと保管しておきましょう。
給与明細(給料明細)の保管方法
給与明細は、各種手続きに必要となる重要な書類です。また個人情報も記載されているので、いつでも確認でき、しかも紛失することのないよう管理しましょう。
(1)時系列でファイルに保管する
紙の給与明細書は、クリアファイルや2穴のファイルなどでファイリングをして時系列でまとめると良いでしょう。各種手続きには、「給与明細書は〇年の〇月分~〇月分が必要」と求められることが多いので、時系列でまとめておくといざという時に出しやすいです。また、間違って必要な給与明細書を処分してしまうリスクを減らせます。どこに保管したのかを忘れることのないよう、本棚などに専用の保管場所を作っておくとより安心です。
(2)PDFで保管する
紙の給与明細書のままで保管するのに不安がある人は、PDFや画像として保存しておきましょう。PDFや画像はパソコン上で専用のフォルダーを作って保管するか、クラウドサービスにアップロードして保管しておくなどの方法があります。いずれの方法も紙の給与明細書の保管方法と同じように、時系列でフォルダーを作って保管すると、いざというときにすぐ開くことができます。また、PDFや画像で保存する場合は万一の時のために、必ずバックアップを取っておくことをおすすめします。
まとめ
給与明細書は保管の義務がなく、企業側も再発行の義務はありません。ただし、何かのトラブルや、各種手続きの際には必ず必要になる書類です。給与明細書は自分を守る書類だと認識して、最低でも5年はしっかり保管しておきましょう。