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JR「摂津本山駅」南口を出てすぐにある「日々ケルン」(兵庫県神戸市東灘区田中町)は、母体である「ケルン」の人気商品はもちろん、店名にも入っている「日々」がつくものなど、ネーミングがユニークなパンが揃っています。
作り手も買い手もハッピーなサステナブルベーカリー
「サステナブルベーカリー」というだけに、食材選びは、食料の輸送にかかるCO2排出量に着目した「フードマイレージ」や、「フードロス」に配慮。小麦は近隣の兵庫県産、滋賀県産を、野菜は兵庫県内の農家から届く「不選別野菜」を中心に使用しています。
味は美味しいのに、形が少しいびつだったり、サイズが規格よりも大きかったり、小さかったりするだけで市場に出回らない「不選別野菜」は、カットしてしまえば、規格品と何ひとつ変わりません。そこで、「ケルン」では不選別野菜を買い取って、パンの具材として活用しています。
また、購入者がフードロス削減と同時に社会貢献もできるという「ツナグパン」という取り組みも行っています。まず、売れ残った傷みにくいパンを詰め合わせて「ツナグパン」として翌日に販売。購入者と支援が必要な人に、同額のケルン全店で使えるコインを渡し、自由に買いものをしてもらうという仕組みです。
野菜のおいしさを存分に生かしたミニサイズのパン
お客様からの「1個でお腹いっぱいになってしまうから、少しずつ、あれもこれも食べられたら……」という声にこたえ、「日々ケルン」には手のひらサイズのフォカッチャなど野菜を使ったパンが並びます。中には定番化されているものもありますが、季節によっても入っている野菜が異なるので、同じパンでも使う野菜が変わることがあります。
「野菜の箱舟」は、フォカッチャ生地に、季節の野菜を船の帆のようにトッピングしています。同店人気の「虎月カレーパン」は、淡路島産玉ねぎを使用。子供でも食べやすい優しい味わいのカレーは、玉ねぎの甘みと牛肉の旨味がぎゅっと詰まっていて、しんびき粉で外をカリッと中はモチッと仕上げた生地とのバランスも絶妙です。
時間をうまく使って、パン生地のおいしさを引き出す
現在、8種類の生地をベースに発酵の仕方や生地の休ませ方、具材の合わせ方などを調整しながら、パン作りを行っているといいます。
「塩パン」と「塩セレブ」は同じ塩パンの生地を使っているのに、発酵の温度と時間を変えることで、食べたときの食感に違いを生みだしています。
「塩パン」は、バターが染み込み、しっとりモチッとしているのに対して、「塩セレブ」は、クロワッサンのようなバリッとした層を感じる食感で、中は少しだけもっちりしています。食べ比べるとその違いがより一層楽しめます。
数あるパンの中でも、生地づくりに時間をかけたというパンが、手のひらサイズの「ひょうごもち麦パン」です。ごく微量のイーストを使い、時間をかけてパンを発酵させることで、小麦本来の味をダイレクトに感じられます。また、中に入ったもち麦のモチッとした食感が特徴的で、そのままでもちろん美味しいですが、スライスしたものを軽く焼いて食べるのもおすすめです。
思いついたらすぐ試作!日々改良を重ねるこだわりのパン
「日々ケルン」では、定期的に新作のパンを作るというスタイルではなく、作ってみたい、こんなパンはどうだろう、と思ったらすぐに試作し、メニューとして採用していきます。仕入れた野菜やフルーツに合わせて新たなパンを考案することも多く、さらにメニュー化されてからも日々試作&改良を重ねて、どんどんバージョンアップしていくのだといいます。
雑穀の生地で粉状のチーズを和えた大納言のかのこ豆を包み込み、お店のロゴマークを象った「大納言の日々」は、上からプレスした状態で焼き上げているので、外皮がカリッとしています。
「三角リンゴの日々」は、クロワッサン生地にりんごとカスタードをたっぷり包んだ、食べ応えのあるスイーツパン。発売当初はすりおろしたリンゴを使っていましたが、取材時はリンゴがゴロゴロと入っていて、香ばしい生地と、リンゴのシャキッとした歯ごたえと甘酸っぱさ、そしてカスタードの甘みが口の中に広がり、おなかもココロも満たされる一品です。
パンを作る人も買う人も、幸せになれる一品を
「常に頭の中では新しいパンのことを考えています。自分が食べて美味しいと思うものを、たくさんの人に食べていただくことで、作り手も買い手も幸せになれます」という製造チーフの宮城さん。
本店の歴史あるパンをはじめ、オリジナリティあふれるパンや野菜をふんだんに使ったパンまで揃っています。
- 具材たっぷりのパンが好き
- いろんなパンを少しずつ食べてみたい
- 季節感のあるパンに出合いたい
という人におすすめです。
ぜひ、お気に入りのパンを探しに「日々ケルン」へ足を運んでみてください。
※掲載内容は取材時の情報です。ご利用の際は最新の情報を事前にご確認ください。