目次
吊るして飾る!ハンギングの意味とは
「ハンギング」とは、文字通り、植物を「吊るして飾る」という方法を指します。
バスケットや鉢に入れた植物を天井から吊り下げたり壁に引っ掛けたりして飾るやり方で、地面ではなく「空中」を彩る方法をいいます。
このハンギングという飾り方は、イギリスで生まれた概念です。この飾り方は日本にも入ってきて、1990年の「花の万博」を契機に一気に広まっていくことになります。
ちなみに1996年には、「日本ハンギングバスケット協会」も作られました。
限られたスペースのなかであっても人の行動導線を邪魔することなく空間を美しく飾ってくれるハンギングというやり方は、今では広く親しまれています。
ハンギングに向く観葉植物を選ぼう!候補となるのはこの3つ
「ハンギングを始めてみたい!」という人は、まずは「ハンギングに向く観葉植物」を知っておくとよいでしょう。
(1)スイカペペロミア
スイカペペロミアは、葉っぱの模様がスイカに似ているということでこのように名付けられた植物です。
日陰に吊るしていても問題のない植物であること、育ってからもそれほど広いスペースを必要としないことから、屋内でのバンキングに向いています。
(2)エアプランツ
ハンギング初心者さんに特におすすめの観葉植物が、「エアプランツ」です。
後述しますが、ハンギングを行う際には常に「重さ」を意識しなければなりません。そしてその「重さ」のなかでも、「土の重量」は非常に注意すべきものだといえます。
しかしエアプランツは、土がなくても飾ることができるものです。
そのため、ハンギング初心者さんであってもトラブルが起きにくいのです。
(3)ペペロミオイデス
詳しくは後述しますが、バンキングにおいては「水」の取り扱いがしばしば問題となります。
しかし、ペペロミオイデスの場合は乾燥に強く、水をあまりあげなくてもきれいな状態が保ちやすいという特徴を持っています。また、非常に育てやすい観葉植物でもあるため、バンキングを初めて行う人でも扱いやすいといえます。
ハンギングに便利なグッズ
ハンギングには、必要なグッズがいくつかあります。簡単に解説していきます。
(1)プランター
植物や土を入れるための容器のことです。鉢型になっているものもあれば、金属でできたものもありますし、藤のかごのようになっているものもあります。
同じ植物であってもプランターによって大きく表情が変わってくるので、よく考えて選びましょう。
(2)フック
プランターを吊るすための道具のうちの1つです。文字通りハンギングの「土台」になるものであり、非常に重要なものだといえます。
後述しますが、ハンギングの場合、フックの耐荷重よりも重い物を飾った場合は大惨事になる可能性が高いといえます。そのため、購入に際しては耐荷重をしっかり確認するようにしましょう。
(3)プラントハンガー
植物を飾るためのハンガーです。購入することもできますが、紐を使って自分で作っていくこともできます。
素材や色、編み方によって印象が変わってくるものでもあるため、部屋の雰囲気を考えて選び分けていくとよいでしょう。
ハンギングのメリット
ハンギングの基礎知識を身に着けたところでここからは「ハンギングのメリットと注意点」についてみていきましょう。
まずは、メリットからです。
ハンギングのメリットとしては、以下の3点が挙げられます。
・視点の高い位置に植物を飾れるために視点の移動のある空間にできる
・いろいろな角度から植物を楽しめる
・スペースが狭くても飾れる
ひとつずつ解説していきます。
【メリット1】視点の高い位置に植物を飾れるために視点の移動のある空間にできる
ハンギングの大きなメリットは、「視点の高い位置に植物を飾れること」だといえるでしょう。
目線の移動が起きるため、「植物のある空間」を十分に楽しむことができます。また、「植物は地面にあるもの」という認識を変えることで、個性的な空間を作ることも可能となります。
【メリット2】いろいろな角度から植物を楽しめる
ハンギングによって「空間に植物を吊るす」というやり方をとった場合、その植物を360度どの角度からでも楽しむことができます。
裏側に回り込んで見たり、横側から見たり……といった楽しみ方ができるのです。このようにして植物を見ていくことで、植物の新たな魅力に気付かされることもあるかもしれません。
【メリット3】スペースが狭くても飾れる
「庭はないし、部屋も広くない」……。
このような理由で、植物を飾ることを諦めている人もいるのではないでしょうか。
庭もなく部屋も狭ければ、行動導線を邪魔するような位置に来かねない地面置きの鉢は置くことをためらってしまうことでしょう。
しかしハンギングの場合は「吊るす」という手法であるため、自分が足を進めたい地面に置かれることがありません。特に、自分の頭よりも高い場所に飾っておけば、日常生活において邪魔だと感じることはほとんどないでしょう。
ハンギングのデメリット
ハンギングは非常に多くのメリットを持つ方法ですが、同時にデメリットも抱えている方法です。ハンギングに限ったことではありませんが、物事に取り組む前には「デメリット」についても知っておきたいものです。
ハンギングのデメリットとしては、
・水があふれた場合、家具などに被害が出る
・意外と重いので、落ちた時に事故になりやすい
の2点が挙げられます。
【デメリット1】水があふれた場合、家具などに被害が出る
植物は、その成長と維持に「水」を必要とします。しかしこの必要不可欠な水も、ハンギングの場合は思わぬ被害をもたらすことがあります。水があふれ出て、その下にある家具などを直撃してしまうことがあるのです。
ただこれは、スポンジマットを張り巡らせて水分を吸収させることによって、ある程度は予防できます。なお、このときのマットは吸水性の良いものを利用するのがよいでしょう。また、合わせて受け皿も合わせておくと安心です。
【デメリット2】意外と重いので、落ちた時に事故になりやすい
ハンギングは、植物の重さ+土の重さ+プランターの重さ+土などの重さを「吊り下げる」というかたちで維持します。これらは意外なほどに重く、フックが耐え切れずに落ちてしまう可能性があります。こうなると、家具だけでなく人までも被害を受けることになりかねません。
なお落下は、「そのフックの荷重可能グラム数はどれくらいか」を常に意識することで防ぐことができます。
飾り方のアイデア
最後に、「先輩方」の飾り方を見ていきましょう。
白と緑で統一した、非常に美しく若々しい印象を抱かせる飾り方です。
涼やかな雰囲気と透明感を持つため、夏の時期には特に映えるでしょう。
優しくて女性的な雰囲気もある、とてもかわいらしい飾り方です。
ハンギングならではの魅力である「高さ」を存分に生かした飾り方です。
素朴な雰囲気でありながらも、垂れさがった緑の葉っぱが存在感を出しています。
「空間を楽しむこと」を目的のひとつとするハンギングらしい作り方だといえます。
私たちの目を楽しませてくれる観葉植物は、インテリアを考えるうえで非常に大切なものです。そしてその「理想のインテリア」を作り出すための方法として、ハンギングがあります。ぜひ試してみてくださいね。
Writer:鍋谷萌子