大阪人が愛してやまない飲み物、ミックスジュース。その発祥の地は、新世界・ジャンジャン横丁の『千成屋珈琲』だった。創業は1948年(昭和23年)。同店のミックスジュースは、初代店主・恒川一郎さんの発案で作られた。
果物店の店主でもあった一郎さんが、甘味が最大になる完熟状態の果物を使ってジュースに。
その味は美味しいと評判になり、その味は大切に大切に継承され、3代目店主・豊子さん(一郎さんの義理の娘さん)へと受け継がれてきた。
しかし昨夏、豊子さんの体調不良により『千成屋珈琲』は約70年の歴史に幕を下ろした。シャッターに貼られた「閉店のお知らせ」を見て一念発起したのは、同店のミックスジュースのファンでもあり、幼い頃から新世界に親しんできた映像制作会社経営の白附克仁さんだった。
「『千成屋珈琲』のミックスジュースは、新世界の誇りであり、大切な伝統です。僕が何とかお店を守りたいと思いました」(白附さん)。その思いを胸に、豊子さんのご家族と何度も話し合いを重ね、4代目として店を引き継いだ。店舗はそのまま借り受け、昔ながらの雰囲気を大切にしながら、今っぽさをプラスした「レトロモダン」な店に改装。梅酒ブームを牽引した『PLUM』、ロールケーキ・バームクーヘンの『GOKOKU』、パンケーキ専門店『Butter』などを育て上げてきたヒットメーカー『株式会社LIFEstyle』とタイアップし、現代に受け入れやすい店へ進化させた。
そして2017年5月29日、『千成屋珈琲』は堂々復活! 復活を待ちわびて開店前から列を成していた多くの地元ファンが、さっそくミックスジュースを堪能した。
「ただ残すのではなく、時代に合わせて進化させていくことも大切。地元の方はもちろん、国内外の観光客の皆さんに、大阪で愛され続けた味を楽しんでいただけたら」と白附さん。
ミックスジュースの他にも、ドリンク、デザート、フードともにメニューは充実。
なかでも、新鮮なフルーツと甘さ控えめの生クリームをたっぷりサンドした「ミックスフルーツサンド」は必食!フワッフワで軽い食感ながらボリューミー、見た目も華やかでフォトジェニック!
自慢のミックスジュースを使った「ミックスジュースかき氷」もこれからの季節にピッタリ。
さらに、隣接する空き店舗を利用し、持ち帰り用のジュースやソフトクリームなども販売する『千成屋フルーツパーラ』を同時オープン。“元祖ミックスジュースを片手に街ブラ”という、新世界の新しい楽しみ方もできるように。
以前から“世界で通じる日本語”として「寿司」、「天ぷら」、「芸者」などがあった。そこへ近年は「オタク」、「絵文字」、「ラーメン」、そして新世界名物「串カツ」も加わったそうだ。白附さんは「目標は、そこにミックスジュースも加わること」と話す。昭和の大阪食文化の一つ「串カツ」が新世界から世界へと発信されたように、ミックスジュースも全世界へと広めていきたいと。
堂々と復活を遂げた『千成屋珈琲』。“伝統の味”が、世界へ向けて新たな一歩を踏み出した。
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『千成屋珈琲』
大阪市浪速区恵美須東3-4-15
(大阪市営地下鉄「動物園前駅」1番出口徒歩2分)
TEL.06-6645-1303
営業時間/9:00~21:00(フードL.O.20:00、ドリンクL.O.20:30)
金・土・祝前日~23:00(フードL.O.22:00、ドリンクL.O.22:30)
無休
http://www.sennariya-coffee.jp/
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