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ヒトの女性と同じように、メス犬にも生理(ヒート)が存在します。
メス犬を飼育する飼い主さんは、生理についての知識がないと、望まない妊娠をさせてしまうことがあります。この記事では、犬の生理はヒトとどのような違いがあるのか、生理期間中はどのようなことに注意したらいいのかなど、犬の生理について詳しくまとめました。
犬の生理(ヒート)とは?
ヒトと同様に、メス犬にも生理があります。しかし、私たちヒトの生理とはメカニズムが異なります。ヒトの生理は、排卵後に妊娠しなかったことによって子宮内膜が剥がれ落ちることが要因で起こります。それに対し、犬の場合は妊娠に備えて子宮内膜が充血することで起こります。
どんな症状(現象)なのか
犬の生理で見られる症状は、主に以下の通りです。
- 陰部のふくらみ
- 乳房の張り
- 出血
- 落ち着きがない、体を人や物にこすりつける
など
どこから出血するのか
犬の生理は子宮内膜の充血によって、陰部から出血が見られます。
どれくらいの量出血するのか
犬の生理の出血量は個体差がありますが、大型犬になるほど多い傾向にあり、小型犬ではごくわずかしか見られない場合もあります。また、個体によっては自分で舐めてキレイにしたり、無出血の場合もあったりするため、飼い主さんが気づかないこともあります。
出血以外の症状
犬の生理中の主な症状は、出血以外に落ち着きがなくなる、体を人や物にこすりつけるといった症状が見られます。ほかにも食欲不振や睡眠時間の増加、イライラする、元気がなくなるといった症状が見られることもあります。また、昔は犬の生理痛はないとされていましたが、現在では生理痛は存在し、月経前緊張症(PMS)もあると考えられています。
犬の生理はいつからはじまる?
犬の生理は個体差はありますが、生後6~10カ月頃にはじまるとされています。生理は犬の性成熟を迎える時期に起こるため、小型犬では生後5カ月、大型犬では生後1年以上後に迎えることもあります。また、ヒトの生理には閉経がありますが、犬は高齢になると出血量は減る傾向にあるものの、閉経はありません。
犬の生理周期はどのくらい?
犬は6~10カ月周期で発情を繰り返し、メス犬の生理は半年~1年に一度です。また、発情期間は小型犬では短く、大型犬になるほど長くなります。
犬の生理(ヒート)は発情期前、発情期、発情休止期、無発情期に分けれられます。
本章では、犬の生理周期について紹介します。
発情前期
発情前期とは、発情していない時期から発情期に移行する時期をさし、約8日間続きます。この時期には外陰部の腫れや充血、出血が見られます。また、症状としては落ち着きがない、多飲多尿などが見られます。
発情期
発情期はオス犬との交尾を受け入れる期間で、平均10日ほど続きます。出血量は発情前期より少なくなり、2~3日で排卵が起こります。この時期にオス犬に会うと、メス犬が立ち止まり交尾を受け入れる行動が見られます。発情期に交尾をすると、妊娠をする可能性があります。
発情休止期
発情休止期は、オス犬の交尾を受け入れなくなり、約2カ月間続きます。出血は完全に止まり、妊娠していなくても乳腺の発達や乳汁の分泌が見られることがあります。
無発情期
発情休止期に続き、メス犬は無発情期に入ります。その名の通り発情期ではない期間をさし、4~8カ月と大部分を占めます。メス犬は無発情期間が終わると、また発情期前に入るサイクルを繰り返します。
生理が長引くようなら動物病院を受診する
犬の生理による出血は約8日間です。出血が見られなくなっても発情期自体は続いているため、飼い主さんは出血の有無が発情期の有無ではないことを理解する必要があります。また、出血が長期間続く場合は病気の可能性があるため、動物病院を受診すると安心です。
生理中に注意すること
愛犬が生理(ヒート)期間に入ったら、飼い主さんはどのようなことに気を付ければ良いのでしょう。本章では、メス犬の生理中に注意したい項目を紹介します。
ドッグランやドッグカフェ、ペットホテルなどの使用は控える
生理(ヒート)中のメス犬は、オス犬の発情を促すフェロモンを分泌しています。去勢手術をしていないオス犬が近くにいた場合、交尾をして妊娠する可能性があります。オス犬単体で発情することはないため、トラブルを防ぐためにもほかの犬と接触する可能性のあるドッグランやドッグカフェ、ペットホテルなどへの外出は控えましょう。
散歩中や出血対策にはマナーパンツを活用する
生理中に散歩に行く場合は、ほかの犬となるべく接触しないコースを選びましょう。去勢手術をしていないオス犬が近くにいた場合、交尾、妊娠をする可能性があるためです。
また、交尾の予防や出血による汚れを防ぐために、マナーパンツ(おむつ)の着用もおすすめです。
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妊娠を望まない場合は避妊手術も考える
妊娠を望まない場合や、生理トラブルを防ぐ方法として、「避妊手術」が挙げられます。
避妊手術には、メリット・デメリットがあるため、飼い主さんがどのような飼い方をしたいかによって決断することが大切です。犬の避妊手術のメリット・デメリットは、主に以下の通りです。
避妊手術のメリット
- 生理トラブルを防ぐ
- 病気の予防ができる
- 望まない妊娠を回避できる
避妊手術のデメリット
- 麻酔のリスク
- 肥満のリスク
- 妊娠ができなくなる
続いて、メリット・デメリットの内容を紹介します。
生理トラブルを防ぐ
生理中は、出血が見られるため、室内を汚してしまうことがあります。また、オス犬の発情を促し、交尾に発展するなどのトラブルも珍しくありません。避妊手術をすると生理が来なくなるため、出血や交尾などのトラブルを防ぐことができます。
病気の予防ができる
避妊手術では、子宮や卵巣を除去するため、それに伴う病気の予防ができることもメリットです。主な病気は子宮の病気(子宮蓄膿症〈しきゅうちくのうしょう〉など)、卵巣の病気(卵巣のう腫)、ステロイドホルモンによるもの(クッシング症候群など)です。
望まない妊娠を回避できる
去勢していないオス犬と交尾をしてしまうと、メス犬は妊娠のリスクが高まります。妊娠、出産、子育てをすることは、犬にとって非常に体力を消耗します。そのため、妊娠を望まない場合には避妊手術をすることで、100%妊娠を阻止することが可能です。
ストレスの緩和
生理中は落ち着きがなくなる、神経質になる、食欲不振になるなど体調にさまざまな変化が見られます。また、妊娠をしていなくてもホルモンの影響で妊娠した時と同じような状態(偽妊娠〈ぎにんしん〉)になることがあります。偽妊娠では、乳汁の分泌やぬいぐるみなどを子供に見立てて子育てをするなどの行為が見られます。
発情期中に見られるこれらの症状は、犬にとってストレスに繋がります。避妊手術をすることで、生理中に起こるストレス症状を回避することが可能です。
麻酔のリスク
犬の避妊手術は、全身麻酔で行います。避妊手術はよく行われる手術であることや、若い年齢で行うこともありさほど心配はいりませんが、全身麻酔をすることは犬にとって大きな負担がかかります。
肥満のリスク
避妊手術をすると、ホルモンの影響で食欲増進や代謝量が減ることから肥満になりやすい傾向があります。避妊後はフードの内容や量を調節し、肥満にならないよう注意する必要があります。
妊娠ができなくなる
避妊手術をすると、犬は妊娠することができなくなります。繁殖を望む場合は、避妊手術をしないという選択肢を選ぶ必要があります。
メス犬の生理期間を把握することが大切
●メス犬には生理(ヒート)が存在する
●生理は生後6~10カ月ではじまる
●閉経はない
●生理は半年~1年に1回で、出血期間は約8日
●生理期間中はなるべくほかの犬との接触を控える
●妊娠を望まない場合は避妊手術も検討する
犬にも生理(ヒート)は存在しますが、ヒトとはメカニズムに違いがあります。犬の生理は生後6カ月頃からはじまり、閉経はありません。生理期間中はオス犬の発情を促し交尾に発展するリスクが高まるため、トラブルを防ぐためにも、ほかの犬との接触は極力控えましょう。
また、生理や妊娠を予防するために、避妊手術を行うという選択肢もあります。避妊手術は、はじめての生理が来る前に行うことで、より発情行為を軽減することができるので、メリット・デメリットを踏まえたうえで検討するのも良いかもしれません。