映画『悪と仮面のルール』の先行上映会が『梅田ブルク7』(大阪市北区)で開催され、主演の玉木 宏が舞台挨拶を行った。原作は、芥川賞作家・中村文則による傑作小説。顔を変え過去を捨てた冷酷な殺人者を描く緊張感に満ちたサスペンスで、海外でも高い評価を得ている。
本作で玉木が演じる主人公は、「絶対的な悪」として生まれ、育てられるという壮絶な運命を持つ男。自身も「今までにやったことのない役」と話す、いわゆる“悪役”だ。ただ、運命に翻弄されながらも、整形手術で顔を変え、愛する人を守り抜こうとする「一言で“悪役”とは言えない」(玉木)という難役。
その役を体現するために、玉木はできる限りのアイディアを出して臨んだそうで、なかでも「整形で別人の顔を手に入れるということで、自分の表情が上手く使えないんじゃないかと。その違和感を出すために、撮影直前に知り合いの鍼灸師に鍼を顔中に50本ほど打ってもらい、すぐ包帯を巻いて(鍼を打った)感覚を保ったまま整形直後のシーンを撮影した」というエピソードには、会場を埋め尽くしたファンからもどよめきが。
また、顔のアップを撮られるシーンも多く、「整形して顔を変えても、目や、心の中、今まで持っていた癖は変わらないと思ったので、表情には出さないけれど、動揺しているところではタバコを吸ったりして、感情を繊細に表現しました」とも。
作中では、鍛え上げられた肉体美も披露。NHK連続テレビ小説『あさが来た』の撮了2カ月後に同映画の撮影がスタートしたそうで、「朝ドラの時は体重を10キロ増やしていましたので、ボクシングやランニング、水泳などで体重を元に戻しながらの撮影になりました」と明かした。
映画の見どころとして玉木が上げたのが、ラストの車のシーン。「原作でもすごく好きなシーンなのですが、脚本では車の中ではなく空港ロビーの設定に変更されていました。それがどうしても腑に落ちなくて、なんとか車の中に変えられないですか、と提案をさせていただき、その提案を通してくださって出来上がったシーンです」と話した。
このエピソードにもあるように、本作は、原作に忠実に映画化することに挑戦した作品。玉木は「完成作を見ても、原作の世界観は失われていないんじゃないかな」と自信を覗かせた。
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【STORY】
財閥・久喜家の当主である父(村井國男)から、この世に災いをなす絶対的な悪=“邪”になるためだけに創られた存在だと告げられた、11歳の少年・文宏。
ある日、父が自分を完全な“邪”にするために、久喜家の養女である初恋の女性・香織に危害を加えようとしていることを知った文宏は、香織を守るために父を殺害し、失踪する。
十数年後、文宏(玉木 宏)は整形手術によって顔を変え、“新谷弘一”という別人になって、香織(新木裕子)を守るために手段を選ばず殺人を繰り返していた。
しかし、文宏の過去を知る異母兄の幹彦(仲村達也)や日本転覆を企むテロ組織のメンバー伊藤(吉沢 亮)が香織を狙い始めたと知った文宏は、ついに自身の背負わされた運命に立ち向かうことを決意するが……。
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【公式HP】 http://akutokamen.com/
【監督・編集】 中村哲平
【原作】 中村文則「悪と仮面のルール」(講談社文庫)
【出演】 玉木 宏、新木優子、
吉沢 亮、中村達也、光石 研、村井國夫、柄本 明 ほか
2017年/日本/2時間18分/
【配給】 ファントム・フィルム
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2018.1/13(土)公開
【大阪】
梅田ブルク7、なんばパークスシネマ、MOVIX堺、ユナイテッド・シネマ岸和田、109シネマズ大阪エキスポシティ
【京都】
T・ジョイ京都
【兵庫】
109シネマズHAT神戸
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