「aither(アイテール)」(大阪府大阪市阿倍野区帝塚山)があるのは、阪堺電車「姫松駅」の目の前。路面電車がゆっくり走る様子を眺めながら、ちょっとひと息つきましょう。
●人生にちょっと疲れたなという時
●自分だけのとっておきのカフェが欲しい
そんな人にぜひおすすめしたいお店です!
店主のこだわりが詰まったショップ
「aither」がオープンしたのは2022年8月。お店の物件を探し始めた当初はセレクトショップとして営業する予定でしたが、スリランカの老舗農園が手がける紅茶「AZ Tea」と出会って開眼。この紅茶を多くの人に飲んでもらいたい!と紅茶専門店としてのオープンに踏み切りました。
セレクトショップを検討していた名残として、紅茶のほかにも、お水やコーヒー豆、自然農法でつくられた食材など、気になる商品がずらりと並びます。「お店に置かせていただいている商品は、すべて生産者さんとの偶然の出会いがきっかけです。お店のモットーにしている3つの柱、自然との調和・ふだんを愛しく・ご縁を大切に、を支えてくれる大切な商品ばかりなんですよ」と、店主の鈴木さんはにっこり微笑みます。
取材に訪れた日には、お洋服ブランド「BISOWA(ビソワ)」の展示販売も行われていました。オーガニックコットン・ヘンプ(麻)・バンブー(竹)を使用し、草木染めで仕上げた1枚1枚は、やわらかな手触りとやさしい風合いがとっても魅力。着るだけで心をときほぐしてくれそうでした。
苦味は一切なし!香り高い紅茶を堪能しよう
「aither」に訪れたら、まずは自慢の紅茶をいただきたいです! 「当店の紅茶は、苦味を出さずに香りだけしっかり堪能できる淹れ方を採用しています。ひと口飲んでいただいたら、ちょっとびっくりすると思いますよ」と鈴木さん。
お湯を注いでから紅茶を落とすまで、なんと30秒もかかりませんでした。一般的には1分間程度の蒸らし時間が必要とされていますが、「それだと香りよりも苦味が引き立ってしまう印象で」と鈴木さんは話します。このあと落としたポットにふたをして、じっくり20分ほど蒸らすことでさらに香りを引き出すのだとか。
出来上がった紅茶はワイングラスに注ぎ入れます。この日は柑橘系のフレーバーが楽しめる茶葉「レディダイアナ」を淹れていただいたのですが、透き通った紅茶の味わいとともに柑橘系の香りが上品に広がって、とっても美味! 蒸らし時間で紅茶の温度が少し冷めるのもポイントで、口当たりよくまろやかで飲みやすくなっていると感じました。
おむすび3つが入った「おんむすび箱」
さらにもうひとつ、「aither」の看板メニューが、おむすびと紅茶のセット「おんむすび箱」(1,200円)です。アイガモ農法で育てた無農薬のお米に、こちらも無農薬の麦を少し加えて炊き込んだご飯を使用。食べやすい小ぶりサイズに握っていきます。
このおむすび3つに、のり、浜納豆を添え、檜の箱に入れて提供されます。
のりは、焼きのりと味付けのりの2種類、浜納豆はまるで味噌のようなコク深い旨味が楽しめます。おむすびは、ギリシャで採取された天日塩で握られ、プレーン・白胡麻・黒胡麻の3種類が味わえます。
「各地から取り寄せたおいしいものを木箱に入れて、宝箱のように演出したいなと考えたメニューです。ちょうどいい箱が見つからず、結局木箱もオーダーして作っていただいたんです。組み上げるのに、釘を一切使っていないのがこだわりです」(鈴木さん)。
お米一粒一粒が感じられるほどよい硬さのおむすびで、噛むほどにどんどん甘みが増していきます。麦のぷちっとした食感と香ばしさもアクセントになり、つい3つ一気にぺろり。ごまの香りも良く、シンプルながらも「おいしいものを食べたなぁ」と充実感でいっぱいになりました。
「おんむすび箱をはじめ、メニューはすべて自分の心が動くかどうか、ときめくかどうかを大切にしています。その上で生産者さんのストーリーも含めてお客様にお話しすることで、舌でも心でも満たされる時間にしていただきたいなって」と鈴木さんが話す通り、大切に選ばれた食材をいただくうれしさが、確かにあります。
すてきなものに溢れた「aither」
香り高い紅茶と、とってもやさしいおむすび。普通だけど普通じゃない、こだわりのおいしさが堪能できるお店です。
味わいはもちろん、鈴木さんの穏やかなお人柄もとってもすてきなので、くつろぎたい時に訪れてお話ししながらお茶を楽しむのもGOODです! ぜひ時間のあるときに行ってみてくださいね。