芥川賞作家・柴崎友香の同名小説を、東出昌大主演で映画化した『寝ても覚めても』。
突然行方をくらました奔放な恋人・麦(東出昌大)を忘れられないでいる朝子(唐田えりか)が、麦と見た目がそっくりな会社員の亮平(東出昌大・二役)に出会い、揺れ動くさまをスリリングに描く。
メガホンをとったのは、映画『ハッピーアワー』が国内外で絶賛された濱口竜介監督。本作『寝ても覚めても』は、濱口監督の商業映画デビュー作となる。
「僕にとって、大阪は感慨深い街。ほんとに『帰ってきたよ』と言いたい!」(東出)
公開を控えた8/22(水)、『なんばパークスシネマ』(大阪市浪速区)にて主演・東出昌大と濱口竜介監督による舞台挨拶が行われた。
会場を埋め尽くした観客から大きな拍手で迎えられた東出は、「大阪に帰ってきました。(朝の連続テレビ小説『ごちそうさん』撮影時に)10カ月住んでいたので、感慨深いですね」と挨拶。
濱口監督も映画『ハッピーアワー』撮影時は3年ほど関西に住んでいた経験があるそうで、さらに原作者の柴崎友香氏が大阪出身、本作も大阪ロケが行われたとあり、大阪には非常に馴染み深い作品となっている。
「役者さんにカンヌに連れてきてもらった」(濱口監督)
第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式出品された本作。
大阪での撮影中、「この作品でカンヌに行きたいね」と話していたのだそうだ。
「キャスト、監督、スタッフ、誰もカンヌに行ったことないのに(笑)、まるで草野球チームがメジャーリーグを夢見る感じ。ただ、濱口監督の映画愛がとにかくすごいんです。純真無垢な監督の映画愛につかまって突き進めば、何かしらになるのではという漠然とした自信はありました」と東出が撮影当時を振り返る一方、「カンヌでは2,000人収容の劇場で観客と一緒に作品を観ました。スクリーンに映っている中でずば抜けているのは、役者しかない。予算が潤沢な作品でもありませんし(笑)。役者さんにカンヌに連れてきてもらったと感じましたね」と濱口監督はキャスト陣への感謝を示した。
人生初の「一人二役」。濱口監督のアドバイスは……
本作で、初めて一人二役に挑んだ東出。
プレッシャーもあったそうだが、濱口監督は東出に「演じ分けを考えなくていい」とアドバイス。
「濱口監督、スタッフ、共演者は共通だけど、2つの現場を同時期に経験しているような感覚」だったのだそうで、麦と亮平、顔は同じだがタイプの全く違う2人の男性を見事に演じきっていた。
感想で人生観や恋愛観が浮き彫りになる作品
MCから本作のことを「観終わった後、誰かと話をしたくなる」と評された濱口監督は、「受け止め方は人それぞれ違います。ただ、その意見を通じて、その人の人生観や恋愛観が浮き彫りになるような作品です。ぜひ観終わった後は、感想会をやってほしいですし、僕もそれを聞きたいですね(笑)」と話した。
また、東出も本作を「いまだに咀嚼しきれない」と語った。
「台本を読んで、原作も読んで、現場も経験したのに、観終わった後、ここまで飲み込めない作品は初めてなんです。胸がズキズキと疼くような、 “すごいもの”を見たんだけど、何と言ったらいいんだろう、と……。みなさんも、何か疼くものを持って帰ってもらえると思います。それすら娯楽として捉えてもらえれば」(東出)。
「この作品は問題作だと思っている。でも、僕はこの問題作が大好き」(東出)
観客からの質問に答えたり、観客の写真撮影タイムを設けたりと、大盛り上がりの舞台挨拶。
最後に観客へのメッセージを求められた濱口監督は、「撮影は去年の夏。思い出深い、駆け抜けた1カ月でした。この役者の皆さんを撮らせていただいて本当によかったと思っています。映画は、観客の皆さんに受け取ってもらって完成します。受け取ったら意外と痛かったと感じられるかもしれませんが(笑)、ぜひ受け取っていただけたらと思います」と会場を見渡しながら丁寧に話した。
東出も「“本読みをたくさんする”、“ニュアンスを抜く”等、濱口監督ならではの演出方法から、一風変わったストーリー性までひっくるめて問題作だと思っています。ただ、僕はこの問題作が大好き。ぜひ、観て、感じて、持って帰ってもらえればと思います」とPRし、舞台挨拶を閉じた。
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【STORY】
東京のとあるカフェで働く朝子(唐田えりか)は、いつもコーヒーを配達している会社で亮平(東出昌大)と出会う。真っ直ぐに想いを伝えてくれる亮平に、戸惑いながらも朝子は惹かれていき、ふたりは仲を深めていく。
しかし、朝子には亮平には告げていない秘密があった。
亮平は、かつて大阪で朝子が運命的な恋に落ちるも、忽然と姿を消した恋人・麦(東出昌大・二役)にそっくりだったのだ……。
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【公式HP】 http://netemosametemo.jp/
【監督】 濱口竜介
【脚本】 田中幸子、濱口竜介
【原作】 「寝ても覚めても」柴崎友香(河出書房新社刊)
【出演】 東出昌大 唐田えりか
瀬戸康史 山下リオ 伊藤沙莉 渡辺大知(黒猫チェルシー) 仲本工事 / 田中美佐子 ほか
2018年製作/日本=フランス/1時間59分
【配給】 ビターズ・エンド、エレファントハウス
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9/1(土)公開
【大阪】
テアトル梅田
なんばパークスシネマ
MOVIX堺
MOVIX八尾
イオンシネマ四條畷
イオンシネマ茨木※10/19(金)公開
【兵庫】
シネ・リーブル神戸
シネ・ピピア※10/27(土)公開
イオンシネマ加古川※11/16(金)公開
【京都】
MOVIX京都
イオンシネマ久御山
イオンシネマ高の原※11/16(金)公開
【滋賀】
イオンシネマ近江八幡※9/28(金)公開
【奈良】
ユナイテッド・シネマ橿原※10/19(金)公開
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