少しレトロな空堀商店街を西に進んだところにある、「芋屋 頂 -itadaki-」(大阪府大阪市中央区谷町)。向かいにはスパイスカレーの有名店、近隣にはセンスの良いカフェがあるなど、いろんな文化が混じり合うすてきなエリアです。
●ローカルな街でゆっくりしたい
●さつまいもが大好き
そんな方にぜひ訪れていただきたいお店です。
著名な建築家が手がける洗練された空間
オープンしたのは2023年12月。慌ただしい日々の中で、ふと立ち止まって自分のための時間を過ごせる場所ができればと、オーナーの川村浩一さんが一から立ち上げました。お店の設計を手がけたのは、川村さんと旧知の仲でもあった建築家の新森雄大さん。国内・海外問わずに活躍するほか、「大阪・関西万博」の設計にも一部携わるなど新進気鋭の建築家として名を馳せています。
実は川村さんも大学・大学院で建築を専攻し修士課程を修了した人物。空間づくりには並々ならぬこだわりがあります。意識したのは、要素をできるだけ省いてミニマルな空間に仕立てること。梁の太さをそろえて空間を均質にするのはもちろん、テーブルの幅やショーケースの大きさなどもミリ単位でそろえることで、違和感を徹底的に排除しました。
「扉を1枚隔てるだけで日常から非日常に移行する、そんな空間にできればと大阪中の商店街を見に行ったりもしました。扉の大きさや隣の家屋との境界、座り心地を大切にした椅子など、言い出せばキリがないくらいこだわっています(笑)」。
ちなみに川村さん自身は建築は趣味にとどめ、就職先に選んだのは「よしもとクリエイティブ・エージェンシー」。「おもしろいことをしたい」と「よしもと」のスタッフ養成校に通い、劇場にて長年勤務しました。その縁あって元「尼神インター」の誠子さんが「芋屋 頂 -itadaki-」で一日店長を務めるなど、芸人さんとは今でも繋がりがあるのだそう。
焼き芋とスイーツとお茶のセット
コンセプト「Me Time, Tea Time.(わたし時間、お茶時間。)」の通り、焼き芋スイーツだけでなくお茶の専門店でもある同店。低温でじっくり焼き上げた焼き芋と、焼き芋仕立てのスイーツに、明治8年創業の老舗お茶屋さん「小原春香園」の煎茶や台湾で仕入れた烏龍茶などをペアリングして楽しめます。
写真左側は「蜜芋チーズケーキ」。タルト生地と蜜芋ペーストに蜜芋をたっぷり混ぜ込んだチーズケーキを重ね、オーブンで香ばしく焼き上げています。かなり分厚くカットされているのが何よりうれしいところ! 「うちのスイーツは、1つでもしっかり満足感があります」と川村さん。
ドリンクは煎茶やほうじ茶、玄米茶、抹茶などのほか、コーヒーや健康エナジーソーダなどもラインアップ。今回合わせてもらったのは、しっかりとした味わいが楽しめる鹿児島県産の知覧茶です。
ねっとり濃厚なチーズケーキはさつまいもの甘味が立って、ホッと和むようなおいしさです。蜜芋ペーストもやさしい甘さで、ボリュームがありながらもぺろり!
焼き芋は皮も香ばしくておいしいので、剥かずにがぶりと頬張って。甘味料を何も加えていない、素材のおいしさが光ります。いずれのスイーツも、うまみと渋みのバランスが絶妙な知覧茶がばっちり合いました。
蜜芋バターケーキもおすすめ
セットにできるスイーツは、ほかにも「バターサンド」や「モンブラン団子」、「みたらし団子」など多彩なラインアップですが、筆者のおすすめは焼き芋をたっぷり使った「蜜芋バターケーキ」。バターのコクと焼き芋の素朴な甘味が調和する、リッチで奥深いスイーツです。もちろんこちらも極太カット!
スイーツは持ち帰りもできるので、気に入ったら手土産などにもぜひ。さつまいものおいしい余韻に浸りましょう。
気になるスイーツをテイクアウト
ショーケースに並んでいたスイーツで、なんだか気になるものを発見。左が「乾蜜芋」(660円)、右が「堅焼芋」(648円)で、どちらも砂糖や乳製品などを使わず焼き芋100%で作り上げたものとのこと。
「乾蜜芋」は蜜が染み出るようなねっちりとした食感。電子レンジで数十秒温めてからいただくと、やわらかさが増してまた違ったおいしさが楽しめました。
一方「堅焼芋」はその名の通りかなり硬めの食感なのですが、口の中で溶かすようにしてゆっくり噛み締めていくと少しずつほぐれ、甘味やうまみがやさしく広がります。原料はさつまいものみなのでおなかにもやさしく、噛みごたえたっぷりで満足度も◎。糖分が気になる時のおやつにぴったりです。
洗練された空間と、おいしくて美しい焼き芋スイーツ。心もおなかも目も楽しい「芋屋 頂 -itadaki-」でたっぷり癒やされてみませんか?
※撮影:ライター