ビジネス街の真ん中に、そこだけ時が止まったような喫茶店があります。数寄屋風の造りのこのお店『ゼー六』は、建物自体はもちろん、調度品一つひとつ長い年月を経て大切に使われていることが伝わってきます。
こちらのお店の名物は、毎朝手作りするアイスクリームをたっぷりと詰めた「アイスモナカ」。こだわりのコーヒーとともに、くつろぎの時間を過ごしましょう。
ビジネス街にポンと現れる、風情ある建物
『ゼー六』の創業は大正2年。和菓子店としておせんべいなどを販売したことに始まります。建物自体は明治に建てられており、京都の宮大工さんによって数寄屋風に建て替えられました。
当時から現在まで修繕を繰り返しながら大切に使われ続けています。
のれんや屋号の文字など、建物のディテールも味わい深いものばかり。
サラリーマンが行き交うビジネス街にあって、ここだけガラリと雰囲気が違ってとっても印象的です。
店内も、もちろん趣たっぷりの大正モダンな雰囲気。こちらの黒電話はなんと飾りではなく現役で、ジリリリーンと勢いたっぷりに着信をお知らせしてくれます。
「創業当時のものはなるべく残そう、そういう気持ちで店をやってるだけなんですけどね」と、3代目主人の廣瀬光徳さんは朗らかに語ります。
昔懐かしいアイスクリーム!忘れがたいおいしさ
『ゼー六』のメニューはとってもシンプルで、名物の「アイスモナカ」とモナカなしの「アイスクリーム」、さらに「珈琲」と「紅茶」、そして「アイスモナカと珈琲or紅茶」のみ。
夏にはこれに「クリーム珈琲」もラインアップします。
アイスクリームは毎朝手作り。イタリア製のマシンを取り入れ、空気を含ませながらクリーミーに仕上げています。
材料の重さを計る際には、創業当時から使っている天秤ばかりを用いるのだとか。お店の調度品だけでなく道具さえも変わらないとは驚きです。
まずは、シンプルな「アイスクリーム」をいただきましょう。
銀色のお皿も風情豊かで、大正モダンな店内の雰囲気ともマッチ。食べる前からテンションが上がります!
「アイスクリーム」は、今時の濃厚アイスとは一線を画す素朴な味わいが特徴。
さっぱりとして甘すぎず、ミルクのやさしい風味がふんわりと残ります。クリーミーな食感ですが、ほどよくシャリ感もあって、とっても爽やか。甘さが後に引かず、軽やかな後口も魅力です!
絶対食べておきたい!名物の「アイスモナカ」
「アイスクリーム」をモナカで挟んだ「アイスモナカ・2個」(200円)は、『ゼー六』の名物メニュー。
もち米で作られたモナカは雑味のない上品な味わいで、時間が経ってもパリパリ食感をキープします。
アイスモナカ1個と珈琲のセットは、甘いものをつまんでちょっとひと休みしたい時にちょうどいいメニュー。
アイスモナカのコロンとかわいい形もまた魅力です。
パリッと砕けるモナカの食感と、クリーミーでやわらかなアイスクリームのハーモニーがたまりません……!
モナカは主張しすぎずに、アイスクリームをしっかりと引き立てます。
長年愛されているのがわかるバランスの良さで、ほどよいサイズ感も含めてGOOD。思わず拍手したくなる、見事なおいしさです。
名物の「アイスモナカ」に隠れ、フィーチャーされることの少ない「珈琲」ですが、こちらもまた『ゼー六』こだわりのメニュー。
オーブンを使って生豆から1時間ほど丁寧に手焙煎した豆は、一粒一粒焙煎度合いが違うのが特徴。ネルドリップで淹れることで、香り高く、スッキリとした味わいに仕上がります。
この味を求めて、数十年通い詰めるお客さんもいるほど。
「アイスモナカ」は持ち帰りも可能。
ドライアイスを使うとカチカチに凍ってしまうため、新聞紙でぐるぐる巻きにして冷気をキープします。持ち運びできる時間は4個で15分、6個で30分、10個で40~50分ほど。夏場にはもう少し短くなります。
ほっこり和む喫茶店でちょっとひと休み
長年通い続ける地元の方をはじめ、インスタで知ったという若い層まで、年代を問わずさまざまなお客さんが訪れる『ゼー六』。
創業当時の趣がそのまま残る店内に入れば、大阪屈指のビジネス街・堺筋本町とは思えないゆっくりとした時間が流れます。
●レトロな喫茶店が好き!
●名店の味を手軽に体験してみたい
●仕事の合間にちょっと息抜きしたい
そんな人にぜひおすすめ。
「アイスモナカ」と「珈琲」と穏やかな雰囲気に、存分に癒やされてください!
※掲載内容は取材時の情報です。ご利用の際は最新の情報を事前にご確認ください。